川澄シンヤです。久々のブログ更新ですね。
新作も無事に完成し、燃え尽き症候群になってしまったため、他の方のゲームを遊んだりイラストを描いたりしています。
まだ公開して日は浅いですが、既に多くの感想を頂いております。ありがとうございます。こだわったポイントもしっかり伝わっているようで、製作者冥利に尽きます。頑張って作ったかいがありました。本当にありがとうございます!
今回は先日公開した「君の世界は鳥籠の中(以下、キミカゴ)」の制作にあたっての裏話(こだわりポイント)などを書いていきます。全二回を予定しています。
もちろんネタバレしかありませんので、「キミカゴ」をクリアしてから読んでくださいね。やっと、思う存分ネタバレ出来るぜ!
【以下、ネタバレ】
【1】物語の起点
一作目の「リバース・ゲーム」を制作している時点から、キミカゴの枠組みは出来上がっていました。といっても本当にざっくりで、「黒髪ロングの少女が主人公」「ドール作家に誘拐されるも、閉じ込められた家から脱出をする」くらいしか考えていませんでした。本格的に設定を考え出したのは昨年…2018年の2月からでした。
そこからキャラ設定を考え、プロットを書き、シナリオ執筆、イラストという流れです。
キミカゴ以前の作品は、PC上でプロットを書いていました。しかし今回は紙に全て書き出しています。
そうして気付いたのですが、圧倒的に紙に書いた方が良いですね。シナリオを俯瞰することが出来、全体的なバランスや流れを意識することが容易になりました。次回作以降も紙に書いていこうと思います。
【2】主人公について
本作は鴇田愛歌が主人公の物語です。これについては腑に落ちない方もいらっしゃると思います。
ほとんど悠人視点で話が進みますし、プレイする側が感情移入をしやすいのも悠人でしょう。ですが、上記で話したように、始めは「鳥籠に閉じ込められる少女」を主人公として話を考えていました。…しかしご存知の通り、彼女――愛歌は特別な秘密を抱えています。その事もあり、初めてキミカゴをプレイした人がすんなり彼女に感情移入をしてくれるとは思えませんでした。
なので、当初考えていなかった普通の少年「白鳥悠人」という第二の主人公を用意し、彼の視点で物語を進める事にしました。
秀でた才能も夢もない…彼のように考えている人は大勢いるでしょう。きっと悠人のような等身大のありふれた人なら、プレイヤーが違和感なく感情移入してゲームに没入できると考えたのです。
作者としては「絶対に愛歌が主人公だ!異論は認めんぞ!」とは考えていないので、誰を主人公にするかは各個人にお任せします。
ただ、私は第一の主人公が鴇田愛歌、第二の主人公が白鳥悠人と考えています。
「リバース・ゲーム」「ファントム・リム」しかり、いつも作品を作るにあたって「主人公が逆境を乗り越えて成長する」をテーマにしているので、それを当てはめるとやはり愛歌が主人公という事になるんですよね…。 という裏話。
【3】シナリオを書くにあたり意識したこと
キミカゴは特にテンポの良さを意識しました。
長編ゲームが陥りやすい欠点「長々と続く、意味のない(とプレイヤーに思われてしまう)文章」「山場のない、退屈なシナリオ」だと思われないように工夫しました。
一周目では鴇田愛歌という謎の少女に興味を持たせ、あの結末で一気にプレイヤーを引きずり込む。
二周目の序盤から明らかになる愛歌の秘密。そして苦難を乗り越えた末のトゥルーエンド…。そして脱がされる愛歌さん…。
序盤から終盤まで単調にならないように考えました。特に「一周目の終わり」と「第三章に入った時」は驚いた人もいると思います。
第三章の話がなければ、ただの恋愛ゲームになってしまうので…。でも、そんなのつまらないじゃないですか。好き勝手に出来るのがフリゲの特権ですから、プレイヤーを振り回さないと面白くないでしょう?(作者の性癖が炸裂)。
「死にたい」
と思っていた少女が一人の少年と出会い、命の危機に瀕した時…初めて彼への想いに気付き――
「生きたい」
と強く願う。
そして、苦手ながらも愛歌は使用人とコミュニケーションを取っていき、彼女の信頼を得て、共に外の世界へと羽ばたいていく…。あの流れが私は好きなんです。
トゥルーエンドのシーンは気分が乗っていたこともあり、シナリオ・スチルともにかなり満足のいく仕上がりになりました。
その後に出てくる成長した花恋の立ち絵も個人的に超かわいく描けたので、お気に入りです。というより、作者的には花恋ちゃんがキャラの中で一番好きです(唐突な告白)。みんなもそう思ってくれると嬉しいな。
あとこれは裏話なんですが、以前リバゲで参加したコンテストのコメントで「日常パートがやや長い」と指摘されたのがずっと気になっていて、シナリオをごっそり削った背景があります。
キミカゴの第二章で愛歌が水着になるシーンがあったと思うんですが、実はあの後に「どっきどきの沖縄修学旅行編」を書く予定がありました。要するに水着は修学旅行の為に試着するというのが本来の流れだったわけです。
某所で「作者は強引にヒロインを脱がせる性癖が…」的なことを書かれていましたが(読んだ時は盛大に笑った)、水着シーンにはちゃんとした理由があったというのをここで弁明させていただきます!(ただし性癖については否定しない)
修学旅行編まで書いてしまうとテンポが大きく崩れてしまう上に攻略が面倒になるので、泣く泣く削りました。スキップとか面倒くさいしね…。
【4】演出面の強化
シナリオを書き終えた私はこう思いました。
「これはイラストを頑張って描こう。それだけの価値を持つシナリオだ」と(あくまで作者の主観です)。
当時遊んだフリーゲームのいくつかがアニメによる演出を入れていたこともあり、すぐ影響される私は、新作はアニメーションを入れたゲームにしようと思い立ちました。素人ながら、本を買って勉強しました。クリスタは描いたアニメをそのまま動画として書き出せるので本当に重宝しましたね。
他にも、今回使用した制作ツールはカメラによる演出や目パチが比較的簡単に出来るので、積極的に盛り込んでいます。
あとトゥルーエンドで変化する画面構成も結構好きなんですよ。画面の半分以上が覆われていた圧迫感のあるメッセージボックスが一気に開ける。いやーいいですね!(熱い自画自賛)
タイトル画面についてですが…実は真ん中の青い部分、これは愛歌の心の壁を表しています。気付いた人はいるかな?(煽り)
始めは悠人に見向きもしなかった彼女が、ストーリーを進めるごとに彼との距離を縮めていく…。そんな意味があったりします。
なのでトゥルーエンド後は、あのような形になりました。
こだわりポイントは山ほどありますが、長くなってしまうので今回はこの辺で。
次回は隠しエンド、アナザーシナリオについて…などなど書く予定です。
では、また!